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あの化け物事件から一夜、カーネの店の奥にある部屋には真音が寝ていた。
カーネは店番を外れることができず、丁度手の空いていた枯葉が真音の面倒を見ているのだった。
「それにしても、札書ってこんなに疲れる職業なの?」
枯葉はふと疑問に思ったことを口に出した。秋斗は当然枯葉の近くに居り、枯葉が余計なことを言わないように見張っていた。
「…さあ、でもこの様子を見ると、かなり疲れる仕事なんじゃないか?」
「ふーん」
秋斗の答えに枯葉はそうとだけ返し、また黙り込んだ。余計な事を何も言えないし、何もする事もない。枯葉はとてつもなく退屈だったのだ。
かといって、外に出ても昨日の騒ぎの痕跡がまだあちこちに残っているし、ヴニーや瀧山、ナヅキ達も怪我人の看護や町の壊れた部分の復興を手伝っているのだった。
「退屈…」
ぼうっと窓の方を見ながら枯葉はつぶやいた。
「何が起こるかわからないからそれはいうなよ…」
秋斗は少々あきれ気味にそう言った。枯葉は「わかってますよーだ」といじけたように窓の方を見続ける。
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「ふう〜疲れた〜」
「昨日の騒ぎからまだ一夜だもん。こんなものじゃないかな?」
沙羅架と夢來は怪我人の手当てを手伝っていた。かなり重傷な人も居り、昨日の騒ぎがどれだけ大きかったかが伺える。
一夜明けたとはいえ、まだまだ手当てを仕切れていない怪我人も居た。
「とりあえずお疲れや、カーネんとこで休んできたらええんちゃうんか?」
ツキシマが沙羅架と夢來のところへ来てそう言った。
確かに二人とも昨日から怪我人の手当てに追われており、まだ十分な休みを取ることができていなかったのだ。
「う〜ん、ツッキーのいうとーりにしよっか」
「そうですね、沙羅架さん。疲れましたし、休憩しましょうか」
「じゃあツッキーあとはよろしくね〜っ!」
そう言って沙羅架と夢來はカーネの店のほうへと歩いて行った。
「…ほな俺もやらんとな…」
ツキシマはモズクワの現状を見て言った。
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「カーネさん」
「あら、ナヅキちゃんじゃない。どうしたの?」
そのころ、カーネの店にはナヅキが来ていた。
「ちょっと一段落したから、休みに来たの。皆昨日のあれで疲れてるみたいだし、ここなら皆集まると思って」
「そうね。まだ、真音ちゃんの目は覚めないけど…」
「そう」
カーネの言葉にナヅキは表面上冷たい表情で言ったが、素直じゃないナヅキの事だ、おそらく心配はしているのだろう。
ナヅキは店の奥のほうの部屋へと行った。
「あ、ナヅ!」
ナヅキの姿を見つけた枯葉は、すごい勢いでナヅキへと飛びついた。
「ちょっ!?か、枯葉…痛い…」
「あ、ごめんナヅ」
「あと枯葉、ここには一応怪我人が居るんだぞ」
はしゃぐ枯葉を宥めるように秋斗はナヅキから枯葉を引き剥がした。
「それにしても、こうやって寝てるといつものせっかちが嘘のようね」
「まあ、確かにしーちゃんがこうやってゆっくり寝てるのって珍しいよね」
ナヅキと枯葉は真音の顔を覗き込んで口々にそう言った。
「昨日のあれは結構負担だったみたい…」
ナヅキがそうやって真音の手に無意識に手を重ねたとき…。
「…お、母さん…」
その真音の寝言(たぶん)にナヅキと枯葉と秋斗は思わず固まってしまった。
「…」
「ナヅ、今の…」
「うぅん…」
呆然とするナヅキに枯葉は何か言葉をかけようとするが言葉が見つからない。
「よーおじさんがきたぞーって…どうしたんだ?」
そこに偶然瀧山が部屋に入ってきた。
「い、いや…なんでもないわよ」
そう言ってナヅキは真音から手を離そうとするが離れない。どうやら掴まれたようだ。
何も状況が理解できていない瀧山は真音の傍らに来た、そのとき…。
「お父さん…」
またもや真音の寝言(たぶん)に一同呆然。
「…もしかして、ナヅキと瀧山って…」
枯葉のその言葉にナヅキはあわてて。
「そ、そんなんじゃないわよ!これもただの真音ちゃんの寝言よきっと!小崎君もそんな目をしない!」
ついには秋斗までナヅキの方を見て呆然としていた。
「お、おじさんには何が起こってるかさっぱりなんだけど…」
瀧山は誰に聞くこともできず独り言のようにぼそりと呟いた。
ちなみにカーネはやけに騒がしいと思ってきたらこんな状態だったのでなんとも言わず、ただその場を離れただけだった。
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「ふう〜…今日の仕事もこれくらいかな?うう〜早くモズクワに帰ってカーネで遊びたいよ〜!」
ヴニーは今仕事中で、モズクワを離れていた。
そして、実はカーネに頼まれていた他の場所でも同じような事が起こったかという調査をしたのだが…。
「未だに収穫ナシ!うう〜ん、一体なんだったんだろ、あれ…」
ヴニーは一人で考え込んでいた。
「何か、変なこと起こんなきゃいいけど」
そのヴニーの不安は、一体現実になるのかならないのか…。
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次回予告
ヴニー「どもども〜毎回恒例の次回予告だよ!でもカーネの家にいけなかったよ〜…。でも今度今回遊べなかった分遊んでやる〜っ!にしても最後のとこ、結構いい感じで終われた気分なんだ!え?気のせいだって?いいじゃんいいじゃん。んでもって次回はね〜多分ナヅと瀧山おじさんがメインだって〜。次回もお楽しみにっ!」
Written by sinne